私の交渉術 P2 対公務員戦

 場合によってはコチラの方がラクです

前回は対個人の交渉でしたが、今回は公務員との交渉です。
私が交渉した役所などは「市町村役場・都道府県庁・警察署・都道府県警」くらいのモンなので、霞ヶ関や永田町との直接交渉は未体験です。
ですので、役に立たないかもしれません。
ただ、役所の行動原理は変わらないので、もしかしたらヒントになるかもしれません。

役所の弱点

コレは、縦割り行政を利用すると、カンタンに弱点が露見します。
公務員は「上から睨まれると出世できない」という弱点があるんですね。
コレは、上の意向に背いても一緒です。
ですから、公務員との交渉に当たるには、上を引っ張り出すコトも作戦のひとつになるんです。

公務員の立ち位置

公務員というのは、必ず公的機関に立脚し、その発言は所属する公的機関の総意となります。
どんな一言でも、ソレは公の言葉なんです。
職中であれば、ごく一部を除いて総意になってしまうんです。
ごく一部とは、休憩などで名札などのカンバンを背負っていていない時間ですね。
たとえば市役所職員の一人が「侮蔑」や「人格・権利否定」などの発言をした場合、その言葉は市の総意であり、
市長の言葉であり、市議会の総意であると、そういう見方もできるんですね。
ですから、軽口を叩く職員というのは「穴」になるんです。
その穴を突っつくのが一番カンタンなんですね。

公務員との交渉での注意

公務員は、必ず「書類」を残します。
どんな軽いコトでも、証拠として文書を残すんです。
ですから、交渉するにあたって、コチラも記録を充分に残すのが肝要です。
また、個人を相手にする場合と違って、公務員との交渉は基本ゼロサムになります。
曖昧な落としどころというのは、行政訴訟などを除いてありません。
曖昧な交渉の終わり方 = 敗北です。
ですから、前準備を盤石にしないと、また、相手を完全に追い込まないと交渉で勝つコトは不可能です。
この時に、ナニを突破口にするかというのが交渉の肝であり、また、一番難しい要件です。

公務員との交渉での大義と筋

公務員と交渉するにあたって、大義は「正当な権利の行使」であり、筋は「法律」となります。
ですので、必ず六法全書と例規集などをさらって、筋の通し方を考えます。
このときに重要なのは、大義が法的にどう(権利を行使する資格があるか)か?というコトです。
少しでも無理があると、うまく逃げられてしまいます。
ですので、このあたりも法的に補強する作業も必要となります。
とにかく必要なのは「法知識」です。
例えば一例として、以前行なった交渉から、

をあげてみます。
この時の大義は「生活保護の給付」で筋は「憲法・生活保護法・行政手続法・刑法・例規集」にて補強しています。
この時は、生活保護法の担当課が完全な違法行為を行なっていましたので、ソコをつついて大義を成しました。
この時の交渉はもっとカンタンで、一言で終えられるんですが、少し目に余る違法行為がありましたので、色々つついて担当課職員らを処分(長期減俸・左遷)させて、依頼人が面倒にならないように保全を行ないました。
万全を期すのであれば、必ず上記の「筋」などのように、公汎にわたって法をさらうのが必要です。
この「万全を期す」というのは、給付を勝手に打ち切るというのを防ぐためのモノです。
必ず「アトのコト」を考えるのが基本になります。
そして、自分のコトは「フリ-ライタ」とでもして、キャンペーンが張れるコトを暗に印象づけます。
このように、法知識を活用し、大義と筋を通します。

公務員の縦割り行政を利用する

行政機関というのは、国・都道府県・市町村と3段構えになっています。
この時に重要なのは、殆どの場合「下流は上流に逆らえない」という上下関係にあります。
つまり、正式に法的根拠があって下流がソレを履行しない・権利の妨害を行なった場合、上流に話をもってゆきます。
上流に誠意をもって大義と筋を通した場合、下流に対して「動く」んです。
コレは理由があって、もし下流の仕事がマスコミにでも流れた場合、上流もガミを喰うからなんですね。
つまり、保身行為が出るんです。
自らの保身のために、下流に対して処罰をします。
もちろん、大義と筋が通っていなければ動きません。
ですから、時間が掛かっても大義の正当性をあかさなければなりません。
逆にいえば、正当性をあかせれば、あとは勝手にコトが進むんです。
コレについて、ひとつの例をあげます。

知人が自転車に乗っていて左右確認のために停止しているところで、横から原チャリに突っ込まれて負傷。
その原チャリ(加害者)は完全無保険(自賠責すらなし)運行で、最悪の状態。
この完全無保険という事実は、被害者・担当警官も聞いていて書類に記載。
翌〃日の夕方に加害者に連絡を取ると
事故の翌日に自賠責保険に加入してから被害者にお見舞いに行きました」
とのコト。
すぐに担当警官に確認すると
事故の前日に加入した自賠責保険証書を提出してきた」
と言っていたので、事故の翌日に加入したと加害者が話したと伝えると、担当警官曰く
「ソレは民事ですから」
とのたまいました。
すぐに県警本部に電話で確認をし、この自賠責保険加入日を遡及して加入し、ソレを調書作成時に提出したコトは民事かを確認すると、即答で民事ではありませんときた。
すぐに担当警官への注意をお願いしてみると、どうも即刻指導を入れてくれたようで、この加害者は自動車運転過失致傷に加えて詐欺未遂でも立件されたというコトがありました。

この様に、道義と筋が通っていれば、加害者による錯誤か職務怠慢かは知りませんが、コレらを全て上に持ってゆけば即時解決する場合もあるんですね。
特に、監督・指導するのは上の組織ですから、下流から上流へと渡るのがイチバンなんですね。
ただし、道義と筋がキッチリしていないとダメですね。
上記の例は、道義も筋も通していない加害者が刑法に触れる犯罪行為に出ているのですから、コチラが道義と筋を通せば全てひっくり返るんですね。
このように、公務員を相手にする場合は、道義と筋を通して上の組織に働きかけるという選択肢がイイ場合が多いです。

公務員の強さ

公務員とは、非常に強い存在なんですね。
公僕だなどと言っていては、勝てる交渉も勝てません。
公務員というのは、先程来言っているように、公の存在で組織そのものなんです。
個人ではありません。
つまり、中途半端な交渉では、組織の力で押してきます。
ソレを防ぐために、様々な策を練らねばならないんです。
また、こちらの個人情報を把握している…キンタマを握られているというのもあるんですね。
さらに、公務員というのは「権力」を持っています。
盤石で綻びもない公組織というのは、どうあがいても刃が立ちません。
まぁ、そんな組織など無いんですが。
公務員の行動原理というのは、よくいわれる「前例踏襲主義」ばかりではなく、上からの圧力に依る行動というのもあるんですね。
例えば先程出した生活保護の水際作戦ですが、コレは上からの圧力による行動となります。
コレについては、ケースワーカによる川柳(大問題になりましたねw)が判りやすいです。

  • 「金がない それがどうした ここくんな」
  • 「救急車 自分で呼べよ ばかやろう」
  • 「ケースの死 笑い飛ばして 後始末」

有名になった川柳ですが、コレというのは個人の問題ではないんです。
先程来言っているように、公務員というのは組織に立脚し、その発言は組織の総意となるんです
いくら大っぴらにならないとはいえ、この様な川柳を出すというのは、そこの組織の総意が出ているんです。
つまり、上からの圧力によって「生活保護申請を蹴る」というのが「当たり前」になっている、また、そのように上が指導しているというのを如実に表したのがこの川柳なんです。
ちなみに「生活保護申請を蹴る」というのは行政手続法違反・刑法において公務員職権濫用罪にあたる可能性があるんですが、そんなコトはお構いなしに蹴りまくっています。
また、実際の窓口を見ると、怒号と罵声を受給者に浴びせているのを見ます。
このように腐りきった組織でも、公務員であり権力を持っているんです。
コレが公務員の強さの実態の一例です。

公務員に対抗する

公務員と我々一般国民の違いといえば、そう、公務員は法律によって地位を保証されているんですが、我々は日本国憲法にて得られた「基本的人権」しかありません。
コレは弱点でもあり強みでもあります。
つまり、公務員というのは「縛り」がキツいんですね。
その点、我々一般国民は刑法などに抵触しない限りは、なんの縛りもありません。
つまり、自由気ままに対抗できいるんです。
公務員が相撲とりだとすると我々はフリーの格闘家で、向こうは土俵を割れないというルールで戦っているようなモンなんです。
地方公務員法・国家公務員法などで縛られ、さらに行政手続法や警察官職務執行法などで更に縛られ、チョッとした作戦ミスで公務員職権濫用罪などで捕縛される可能性があります。
ですから、大義と筋をキッチリ通せば、また、その筋を法により補強すれば個人でも対抗できるんです。
先般より出している「上流を動かす」というのも、大義と筋を通せば可能になります。

つまり「公務員に対抗するには法律を片っ端からぶつけろ!」と、こうなるんです。

自分が抱えている案件を通したい場合、まずネットの相談コーナのような場所で同じような事例を探します。
そして、その中から六法全書で使えそうな条文を拾い、ソレに関する法律を10ばかり集めます。
次に憲法違反の可能性があるかを調べ、憲法違反であればその条項を拾っておきます。
さらに例えば役所であれば例規集をさらい、その行政単位での例規を集めます。
集めた全てをナニ法の何条で内容はどうこうという一覧を作ります。
コレは相手にぶつけるためのモノなので、一言一句間違ってはいけません。
そして全ての情報を集め、今度はシナリオを書きます。
法律をぶつける順番を決めるんです。
コレは台本のような型式で構いません。
自分がどのように交渉するかのリハですから。
コレが煮詰まってイイ感じになったら、早速交渉開始です。

公務員との実戦

さて、役場なりに着いたら実戦です。
実戦に当たるに於いて、まず深呼吸をするなり煙草を吸うなりして落ち着きます。
そして、録音・録画のセットをします。
落ち着いたら、目的の課に直行します…が、他の課の様子も観察しながら作戦変更の要否を検討します。
担当課に着いたら、まず担当者を呼び出し、交渉を開始します。
まずは名刺を貰うコトから始めます。
自分の名刺を渡してもイイですが、無ければ構いませんし、出したくなければソレでOkayです。
ただ、住所・氏名などは嘘偽り無く話します。
免許証を見せてもイイですね。
もし免許証のコピーをとると言ってきたら、免許証のコピーは個人情報のカタマリなので、相手の責任に基づき、交換条件で名刺を出させます。
名刺は資料と一緒にまとめ、常に見られる状態にしておきます。
なぜ名刺?と思うかもしれませんが、公務員というのは「自分の情報を公開するのが嫌い」なんです。
つまり、ココでひとつキンタマを握るんです。
もし相手が非合法な行為・事実誤認を招く行為を行なったり、錯誤させるようなマネをしたときは、この名刺が役に立ちます。
意地でも出させましょう。

そして、いざ勝負ですw
まずは手帳を出し、相手の言っているコトを逐一書き込みます。
もちろん会話をしながらです。
相手にはメモ程度にしか思わせませんが、実際は隠しマイク・カメラで記録しているので、要点だけのメモを積み上げます。
また、公的機関では「部署ごとに」業務に関するパンフがありますので、事前に手に入れておくか、若しくは出させます。
部署ごとにパンフがあるのは、天下り先の外郭団体が出しているからです。
まず大義を示し、ナニを望んでいるかをハッキリ伝えます。
生活保護の受給であれば「生活保護を受けさせて下さい」とハッキリ言います。
コレは権利に基づいた申請なので、行政手続法で定められている

(申請に対する審査、応答)
第七条  行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

に基づいて動かせます。
この時に「申請がその事務所に到達したときは」とあるのは、書面だけでなく口答での申請も含まれます。
つまり、初日に申請書を書いていなくとも、次回(3~5日後がイイかもです)に申請の確認をし、まだ受理していないようであれば行政手続法・生活保護法に違反し、国民固有の権利行使を妨害すれば刑法に於ける公務員職権濫用罪の可能性を示します。
この時に重要なのは、先程出した「名刺を貰う」というコトが完遂できている状態。
法律違反をしている張本人の名刺ですので、無茶をせずとも権利の行使までもってゆけるんです。
更に詳しい生活保護の詳しい戦い方は

を参考にしてください。

また、役所は前例踏襲主義ですので、前例のないコトや前例に背くコトはしたがりません。
ソレを動かすのが筋の補強である「法律」なんです。
必ず法律はさらってください。

そして、もうひとつ重要なのが「バックに誰かがいる」という風に思わせるコトです。
交渉のための資料をまとめておき、万全を期して臨んだ場合、資料は自分で作ったのか?を聞かれます。
その場合、知人に作ってもらったと答えるのが正解です。
大抵は弁護士か?というふうに聞かれますので、フリーのジャーナリストやフリーライタだと答えておきます。
大概は信じてもらえず、弁護士だと思い込みますので、嘘ではないコトで思い込みをわざわざ否定する必要はないので、曖昧にしておきます。

ココまで成功すれば、大抵向こうが折れます。
裁判はイヤですからねw

下流の公務員がケツを捲った場合

コレは単純です。
記録の全てを持って「ひとつ上流」に交渉相手を変えるだけです。
市町村役場がケツを捲ったら、都道府県庁に全ての記録をもって赴き、先程までの交渉相手が違反している法律を並べて判断をさせます。
モチロン、名刺も出します。
そして、紳士的に落ち着いて「全部」を見せるんです。
録画したムービーなども。
必ず自らが筋の通っている主張をしているのが原則ですし、相手が違法行為をしている証拠を見せるんです。

ココでだめなら霞ヶ関ですね。
霞ヶ関でも同じように、紳士的に落ち着いて全部を見せます。

コレでもダメなら…マスコミにムービーを売りましょうw
相手が激高しているムービーなんかであれば、ニュース番組で使えるネタになりますからww
まぁ、筋が通っていれば、都道府県庁まで行かなくとも交渉は終わりますが。

私の場合、市町村役場で交渉がウマく行っても、もし事後のクレームを入れる場合は都道府県庁に入れるコトにしています。
厳正な処罰が期待できますので。
上流は下流を指導・処罰する立場なので、無視はできないんです。
そして、下流は上流の指導・処罰を恐れています。
出世に響きますのでw
降格・減俸・異動(左遷)のトリプルを4人同時に掛けたコトもあります。

さて、ココまで読んで気付いたコトがあると思います。
ソレは交渉を1ヶ所で終わらせようとせず、相手の出方で交渉相手を追加するというコト。
行政が縦割りだからこそ、こういうコトができるんです。
正直、大義が筋違いでなければ、公務員を相手にするのはカンタンです。
逆にいえば、大義が筋違いなら交渉は失敗します。
必ず筋を通し、筋を法律で補強しましょう。

さて、長くなりましたが、対公務員編は終わりです。
ココまでのお付き合い、ありがとうございました。

関連項目