生活保護の水際作戦を突破せよ!

突破方法を考察

生活保護の水際作戦を突破するに当たって、様々な方法があると思います。
ここでは2例ほど突破方法を挙げてみます。

 せっかくなので突破してみましたw Part1

もう半年くらい前のハナシ…
知人より、生活保護の受給をしたいが、申請に行っても受け付けてもらえないという相談を受けた。
詳しく訊いてみると、どうやら市役所の担当課が水際作戦を行っている様子。
さっそく情報を集め、ネゴにあたった。

まず情報収集から。
依頼人に関する情報の一部
その知人は躁鬱病に罹り精神科を受診している。
そのため、労働に耐えられる状態ではなく、無職。
医師よりの診断書は貰っている。
シングルマザーに育てられ、親・兄弟・親族を頼れない。

役所の対応の一部
生活保護の申請書を出さない 医師よりの診断書を机上に放置し、誰でも見られる状態にした はじめて申請に赴いてから2ヶ月近く経過 暴言がひどい

依頼人にICレコーダを購入し、役所のやり取りを聞かせてほしいと言ったが、本人はその大事さに気づかず、結局録音は無しの状態でのネゴとなった。
このとき録音が有れば、ネゴの時間は半分で済んだのだが…

まず依頼人を担当課へ赴かせ、到着したら私に電話をするように指示。
依頼人が到着し、電話を受ける。
すぐに電話を切り、担当課へ私が電話。
担当者に電話を取り次がせ、私が代理人である旨を伝え、担当者とネゴ開始。
まず事実確認から。
依頼人は日記帳に今までの記録をとっており、ソレと担当課の記録を照合する。
が、担当者が最初の逃げを打つ。
「記録を確認したいので一旦電話を切って折り返しでよろしいですか?」(ちょっと強気)
私のカウンターパンチ
「書類なら手許に持ってくるだけでしょ?そんなコトもできないんですか??」(冷淡)
少しオドオドしはじめた担当者。
少しのあいだ保留音が続き、書類を持ってきたのか担当者が再び電話口に出る。
さて、記録との照合。
本人は2ヶ月前から生活保護の受給申請である旨を伝えているが、担当課の書類には記載なし。
ただし、役所へ来庁した記録は全て残っている。
記録に食い違いはあるが、来庁の記録は符合している。
ココで私の攻撃。
六法全書より

行政手続法第6条
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

同第7条
行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

同第8条
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。

2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

生活保護法第24条
保護の実施機関は、保護の開始の申請があつたときは、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。【則】第2条
2 前項の書面には、決定の理由を附さなければならない。
3 第1項の通知は、申請のあつた日から14日以内にしなければならない。但し、扶養義務者の資産状況の調査に日時を要する等特別な理由がある場合には、これを30日まで延ばすことができる。この場合には、同項の書面にその理由を明示しなければならない。
4 保護の申請をしてから30日以内に第1項の通知がないときは、申請者は、保護の実施機関が申請を却下したものとみなすことができる。
5 前4項の規定は、第7条に規定する者から保護の変更の申請があつた場合に準用する。
6 保護の開始又は変更の申請は、町村長を経由してすることもできる。町村長は、申請を受け取つたときは、5日以内に、その申請に、要保護者に対する扶養義務者の有無、資産状況その他保護に関する決定をするについて参考となるべき事項を記載した書面を添えて、これを保護の実施機関に送付しなければならない。

と、コレに関わる『市の例規集』を提示し、生活保護の申請は口答でも成立し、市の例規によれば14日以内に書面を以て通知するとあり、この権利を侵害するのであれば、

刑法193条(公務員職権濫用)
1項 公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の懲役又は禁錮に処する。

に抵触する旨を伝える。
ココで担当者の腰が引け始める。
また、過去の暴言の中から
「市から出て行ってくださいよ」
というのがあったため、
憲法における生活権・居住権を否定している発言だが、あなたは市役所の職員であり、その言葉は市の言葉として扱われます。ソレは市の総意であると解釈し、ソレを確認するために市長以下全ての市の関係者に確認するがよろしいか?
と詰め寄る。
担当者が言葉に詰まれば
「どうしたんですか?答えられないんですか??」
と追い討ちをかける。
また、医師の診断書を放置した件ではプライバシー保護がなっておらず、情報の流出があった可能性を指摘し、相手に考える時間を与えず、法的手段に訴える事も視野にあると畳み掛ける。
あくまでも冷淡な口ぶりで…w
どうも電話の向こうが騒がしい。
担当者の周りに別の職員が何人かいるようだ。
だが市役所職員なぞ烏合の衆。
何人集まろうと関係ない。
…が突然電話が保留に。
私のアタマの中は???
保留音が終わり、ずいぶん紳士な感じの声の職員が出てきた。
課長だそうで。
課長に今までのハナシを全て確認し、どう対応するかを聞くと
「すぐに全ての手続きに入ります」
とのコト。
こうなれば私の出番は無い。
「では、よろしくお願いします」
と電話を切った。

数時間後、依頼人より電話があり、全ての手続きが完了したとのコト。
また、担当者はリアルでブルブル震えていたとのコトで大笑いw
また、生活保護で出せる「全ての保護費」が出るとの確約を得たとのコトで今回のネゴは終了…とはいかないのが悲しい所w
ケースワーカーの態度が悪く、言っているコトが無茶苦茶であるとのコトで、今度は県庁の担当課へ。
県庁の担当課へ電話をし、今回のネゴとケースワーカーの件をクレームとして入れる。
県庁の担当者は今回の件を真摯に受け止めてくれ、指導・処分を約束してくれた。
結果、市役所の担当課では担当者を含む4人が異動(左遷w)となり、ケースワーカーも交代。
どうも、他の職員もマズいマネをしていたとのコト。
コレで全て終了と、あいなりました。

市役所の職員が、しきりに私のコトを聞いてきたとのコトで、どうも弁護士だと思っている様子。
依頼人にはフリーライターだと言っておけと言ったんだが、信じてもらえず弁護士だと固く信じているらしい。
県庁担当者にも職業を聞かれたが、その際も「弁護士さんですよね?」とくるんで、「フリーライターです」と答えるも信じてもらえない。
ドッチでもイイが。

 せっかくなので突破してみましたw Part2

Part1の友人からの依頼。
同県だが違う市に在住。
Part1依頼者の友人が交通事故(依頼してきた被害者は徒歩・加害者はクルマで営業中の社有車)に遭い、保険会社が強硬に出し渋りを行い、一銭も払わない、被害者を加害者扱いするなどし、ケガのせいで仕事(飲食店関係)にも出られず、そのため必要な治療も受けられないという最悪の状態。
一応判例を引いてみると、この事故の場合、悪くて「被害者2加害者8」の過失割合で、個人的には「被害者1加害者9」までは確実にいけるという感じ。

まず、加害者と争うのは当然だが、まずは被害者の生活を立て直さないコトには先に進めないと説明し、また、親族の支援も受けられず、仕事ができない = 生活費すら出ないという緊急事態であるコトを説明し、即時生活保護申請を行なう様に指示。
翌日、役場へ赴き
「生活保護の申請をさせてください」
と言ったが、ナニやらゴチャゴチャ抜かして申請書を書かせなかったとのコト。
というコトで魔法の言葉を教える。
「生活保護の申請は口頭でも成立し、その要否は2週間以内に出さなければならない」
と、
「生活保護申請は正当な権利であり、職員が握りつぶした場合は刑法193条の1公務員職権濫用罪に抵触するおそれがある」
という、前回と同じ策。
コレでダメなら、私のところへ役場の窓口で電話をしなさいと伝え、再戦開始。
電話が来ないので心配していると、私が教えた魔法の言葉を発した瞬間、担当課内がガタガタと動きだし、生活保護申請用紙やその他書類を一切合切出してきて、申請そのものはすぐに終わったとのコト。
そして、前回と同じく
「誰が指示したんですか?弁護士でしょ?どこの弁護士?」
とシツコく聞いてきたとのコトで、
「フリーライターの○○(私のペンネームです)さんという人です」
と答えるも信じてもらえず、弁護士だと思っているとのコト。
弁護士だと名乗れば弁護士法違反だが、ちゃんとフリーライターと名乗っているのでOkayなので、勝手に弁護士だと思ってくれている限りはヘタなマネをしないだろうというコトで、弁護士だと思わせておくコトにする。

後日、役場の担当課から電話があり、
「生活保護で出る家賃以内の部屋を探して下さい」
とのコトで、生活保護は通ったらしい…が、書面による要否決定書が出ない限りは油断できないが、言われたとおりしておけば問題なさそうなので部屋を探すように指示。

というコトで、Part2は魔法の言葉が一撃で効いた例でした。
こういう事故等の場合、まずは生活基盤を構築し、生活・治療を受けられる様にしてからでないと、無収入では加害者と保険屋の悪意とは戦えません。
そのための生活保護ですから、存分に活用すべきです。
そして、仕事ができるようになったら生活保護から抜けて、自活の路を歩むべきです。

Part2の場合は、緊急避難的生活保護という意味合いが強い事例です。
事故・ケガ・病気等々で労務不能の無収入になったら、真っ先にやるべきは生活保護の受給です。
そのための制度であり、そのための権利が法により付与されているので、キッチリ活用しましょう。
そして、労務可能になった時点で生活保護を抜け、キチンとした社会生活を営みましょう。


 生活保護申請について

さて、生活保護を受給しようとしている皆さん、私のネゴが参考になったでしょうか。
参考になれば幸いです。
市役所とのネゴは、法律に通じた知人を代理に立てるのが最も手っ取り早いです。
法律家に頼んでもイイですが、お金が掛かりますし、何よりネゴが得意な法律家は少ないです。
自分で六法全書をさらうのがイチバン手っ取り早いですね。
実際、Part1の依頼人も弁護士同伴で掛け合ったものの、弁護士が役立たずでネゴのネの字もできず、完全な徒労に終わり、私に泣きついてきたという経緯があります。
しかも最悪なコトに、住む家を無くされるという最悪の事態にさせられそうになりました。
通常は申請が通ってから家探し→契約→旧家を解約という順序なのですが、コレを逆にやらせようとしたんですね。
弁護士でなくとも、コレの異常性は判るはずなんですが、その弁護士は判らなかったようで…言っちゃ悪いですが、ボンクラで役立たずというだけならマシ、その弁護士は他人を路頭に迷わせるようなマネをした「存在してはいけない弁護士」です。
今は弁護士も「人余り」の時代ですので、私のような素人が1日で済ませられる案件すら処理できない弁護士もたくさんいます。
ネゴとは掛け合い。
私はヤクザ者との掛け合いの経験もありますんで、市役所の職員ごときに負けるコトはありませんが、掛け合いに慣れていないと相手に押されっぱなしになってしまいかねません。
一度押されれば、最後まで押し切られて丸め込まれてしまいます。

掛け合いは最初が肝心。
相手が違法行為をしているのであれば、その一点突破でいきましょう。
たかが公務員、自分が刑事被告人になるくらいなら、生活保護の申請くらい通します。

ネゴに際して必要なコトですが…
受給資格がある事…コレがないとネゴもヘッタクレもありません。 法知識…生活保護法くらいは調べましょう 例規集…市の規則です。生活保護関連の条項は必ずあります。市のHPに必ずあります。 刑法193条…水際作戦はコレに抵触する可能性があります。

あとはWikipediaですが
http://ja.wikipedia.org/wiki/生活保護問題
が参考になりますね。

生活保護は全ての国民に与えられた権利です。
ソレの侵害は犯罪です。
もし水際作戦を行われた場合、ありとあらゆる方法を以てコレに対抗しましょう。

職員の言葉

市役所の職員というのは公務員であり、公務員であるというコトは市に立脚した存在になります。
つまり、市の職員の発言というのは「市の言葉・市長の言葉であり市の総意」という位置づけになります。
ですから、もし市の職員が侮蔑の言葉を吐いた場合、あなたは市の職員であり、市を代表しての発言となりますが、今の言葉は市の総意であり市長の言葉を代弁しての発言として扱い、全ての職員や市長・市議にまで本意を確認して回るがよろしいか?と確認しましょう。
確認して、もし逃げ口上を打ったり開き直った場合は、本当に聞いてまわります。
そのためにも、会話は全て録音しておきます。
庁舎の全ての部署を回って録音を聞かせ、本意を引き出します。
もし市長が庁舎内にいれば、市長にもクレームとして聞かせて本意を聞き出します。
ついでに、都道府県庁担当課にも聞かせて本意を聞き出します。
最後に侮蔑の言葉を吐いた職員の上司に聞かせる…つまり、処罰しなければならない状態を作り出すんです。
この時に重要なのは、本意ではありません。
職員が侮蔑の言葉を吐いたというコトを問題にし、キチンをした「処罰」をさせるために、各部署に周知徹底しておくコトです。
ソレにより「逃げ」ができないように外堀を固めて、面倒なヤツと思わせるんですね。
そして、法と例規に則った手続きを行なわせるんです。
コレは恫喝などではないんですね。
公務員と言うのは、公の存在であり、また、濫用可能で強力な権限を持っています。
そういう前提で、市の職員によるパワーハラスメントを改めさせるというのが趣旨であります。
というコトで、万が一の場合は上記の対応で応酬しましょう。

関連項目

私の交渉術 P2 対公務員戦