流速チューン

ショートレンジからロングレンジまで

VSR-10で流速チューンをしてみました。

 チューン内容再確認

パーツは以下のように変更してあります。

  • RAVENのシリンダ
  • RAVENシリンダノズル
  • RAVENバキュームピストン
  • RAVENスピリングシート
  • RAVENスプリング
  • PDI HOP UP チャンバーver.2
    • HOP押しピン交換
  • PDI HOP UP チャンバー用Wホールド チャンバーパッキン
  • PDI6.01mmインナーバレル
  • PDI1stシア
  • PDI2ndシア
  • ピストンウェイト増設

ほとんど交換してあります。
加工はHOPのピン交換・ウェイト交換がメインになります。

 流速チューン開始

流速チューンの基礎から始めます。

流速チューンとは

流速チューンでいう流速とは、ピストン下死点からピストン上死点までの、シリンダから出る空気の流速を高値で安定させるコトです。
通常だとピストンスピードは上死点に向かうほど背圧などにより減速します。
そこでピストンを重くして最後まで背圧に打ち勝ち、さらにホップを効かせるコトで弾を発射する気圧を高めるんです。
ホップが弱いと、ホップチェンバ内の気圧が低い状態で弾が発射されてしまいます。
ホップを強く掛けるコトで、ホップチェンバ内の気圧が高くなってから発射されるコトになります。
ピストンにウェイトを増すコトで、慣性により上死点近辺でピストン前進が減速しないようにするんですね。
ノズル径も細くするコトで、更に流速を上げるコトになります。
そうすると、強ホップで弾のピッチング方向に強烈なスピンが掛かり、ジャイロ効果で弾道が安定するワケです。
つまり、重い弾ほどジャイロ効果が働いて、弾道を安定させやすくなるワケですね。
ウチでは、0.12g・0.2g・0.25g・0.28g・0.40gと弾を在庫していますが、0.28g・0.40gでも安定した弾道・飛距離を出してくれます。
特に0.28gは、多少の風があったりしても、規制値内の出力での弾道と飛距離のバランスがイイです。
後述しますが、私の場合は「弱いスプリングにプリテンションで辻褄合わせ」なチューニングなので、低初速・高ホップという方向性でカスタムしています。
主に0.25g・0.28gを使用しているので、ソレに合わせています。
ちなみに0.4gは…ちょっとばかり重すぎですが、ジュール規制値に合わせて初速を落とすと、意外にスーッとキレイに落ちる弾道を描きます。
ノーマルだと、ストンと落ちる弾道になるんですが…しかも距離が伸びませんし。
使用弾に合わせてカスタムしないと、飛ばないか違法銃になるかのドッチかになります。

大事なコトは…

  • 適正スプリング強さ
  • 適正ピストンウェイト
  • ホップ掛かりよさ
  • ホップチェンバの気密
  • 適正シリンダノズル径

あたりです。
今回は、このあたりを解説していきます。

 ノーマルパーツ加工で流速チューン

ノーマルパーツでも流速チューンはできます。

加工等

・ホップアーム加工

まずはホップ部を加工します。

下はホップパッキンとホップアーム。
ココを加工するコトで、ホップの効きを強くします。

下が実際に加工したホップアーム。
凹型になっているアーム先端部の中を埋めて樹脂で整形しています。
樹脂を広めに盛るコトで、ホップが「点」ではなく「面」で掛かり、尚かつV字パッキンなのでセンタリングも取れます。
流速チューンの肝です。

ホップアームを加工すると、キレイにホップパッキンが出て、掛かりが良くなります。
このホップパッキンはPDI製V字パッキンに変更してあります。
この後、PDIのホップチェンバVer.2に変更しましたが、正直、このノーマル改の方が面ホップになる分、特性としては良好でした。

ピストンスピード確保

スプリングレートを擬似的に上げるため、下のようなスプリングスペーサを作ってプリテンションを掛けます。
リアルショックの場合、ウェイトを外さない方が最後まで押し切る運動エネルギーを保持できるため、このスプリングスペーサ追加だけを行ないます。
ただしコレの巻き数で初速が変わるので、あまり巻き数を上げると、すぐに規制値を超えてしまいます。
スプリングシートに1.5mmステン針金を巻いて作り、ピストンのスプリング穴に仕込みます。

調整

まずホップの設定です。
私の上記ホップアームは掛かり重視なので、ホップ調整目盛り最弱でも強い圧が掛かっています。
30m~40mなら0.2g弾で2クリック、0.25g弾で4クリック、0.4gなら7クリックという感じです。
かなりホップが効いているんで、コレ以上ホップを掛けるとフライヤーがスゴいです。
10クリック以上掛けると…発射できませんww
ソレくらい強く掛ける必要があるんです。

理屈

流速チューンを行なっていない場合、通常は下図のようにピストンが空気を圧縮し始めるとすぐに弾が発射されます。
コレだと、ピストンスピードだけでしか初速を得るコトはできません。

お次は流速チューンです。
ピストンが前進して空気が圧縮されますが、ホップが弾を保持して発射されません。

更に空気が圧縮されると、ホップが弾を保持できなくなるために、高圧縮空気により一気に弾が発射されます。

うまくホールドされるように、PDIのV字パッキンを面で圧力を掛けるという細工をしているワケです。
うまく圧縮されていると、空撃ち発射音はパン!と弾けるような音になります。
また、強烈なホップのため、うまく調整しないとフライヤーになってしまいます。
フライヤーにならず、なおかつうまく圧縮するようにピストンウェイトの質量で慣性モーメントを発生させ、一気に上死点まで押し込むようにするのが肝要です。
また、ノズルとパッキンの気密が取れてないといけません。
私の場合、シリンダ周り全部を交換した際に、ピストンに30g程度の重りをを仕込みました。
スプリングスペーサで初期ピストンスピードを稼ぎ、最後まで押し切れるようにというようにです。
さらに、PDIホップチェンバVer.2を装着し、純正ホップ押し棒をやめて、4mm程度のアルミ棒を使用してホップ圧を稼いでいます。
私の場合、15mゼロインで0.2gは少しホップしながら当たり、0.25gでストレートに当たるようなセッティングにしてあります。
ホップの掛かり調整もそうですが、スコープで辻褄合わせをしています。
40mで胴体を狙える精度です。
ごくたまにフライヤーが出ますが、意外とキレイに飛びます。
横からの強風時には妙な弾道を描きます。
スネーキングというか、風上に向かって飛ぼうとして蛇行するんですね。
最終的にはターゲット近辺に着弾するんですが、非常に奇妙な弾道です。
風に強いのも流速チューンの特徴です。

インナーバレル

私はPDIの6.01ノーマル長さを使っています。
理想を言えば、
シリンダ容量 > バレル容量

となるのがイイワケです。
逆に
シリンダ容量 < バレル容量

となると最悪です。
シリンダ容量が小さいと、BB弾が前進している最中にシリンダからのエア供給がなくなり、BB弾がインナーバレルの空気を引いてしまい、失速してしまいます。
ですから、電動ガンなどのシリンダ容量が小さい機種の場合、シリンダ容量 < バレル容量になりやすいので、ショートバレルにするワケです。
理想は、シリンダ容量より少しインナーバレル容量が少ないくらいで、最後の一押しが出るくらいです。
インナーバレルを飛び出した直後のBB弾を圧縮空気が押すというのは意外と重要で、コレにより弾の初期安定性に影響してきます。
ルーズバレルがイイという意見もありますが、個人的には若干タイトなのがイイと思います。
あまりルーズだと、弾を追い越すエアが多すぎますし、弾が暴れやすいです。
弾を追い越したエアが境界層を形成して、弾に対する抵抗になる可能性もありますから、追い越すエアは最低限がイイと思っています。

フライヤー?

あまりにもフライヤーが出る場合、垂直が出ていない可能性があります。
特にホップチェンバを交換している場合です。
PDIのホップチェンバVer.2の場合、専用のホップパッキンを使うんですが、コレには回転防止のダボが出ていませんから、自分の目で調整する必要があります。
弾のセンタリング出し用のパーツでのセンタリングをし、そのパーツのあいだ、中心にパッキンのV字切れ目が来るように微調整します。
本体に組み込んだらホップが鉛直線に効くように構えて、その上でスコープの鉛直線が出るようにマウントリング上で回転させて全部の垂直が出るようにします。
意外とスコープの鉛直線をシビアに出さない人が多いです。
コレもゼロイン調整の必須項目です。
そもそも0.2gなどという軽いものを数十メートルという遠くに飛ばそうというんですから、かなり微妙・シビアな調整になるのは仕方の無いコトです。

 アフターパーツで流速チューン

ノーマルシリンダでもイイんですが、アフター品でもやってみましょう。

使用パーツ

  • RAVENシリンダ
  • RAVENバキュームピストン
  • RAVENスプリングシート
  • RAVENノズル部
  • RAVEN弱装スプリング
  • RAVEN強化スプリング
  • PDI2点保持ホップパッキン
  • PDI HOP UP チャンバーver.2
  • PDI HOP UP チャンバー用Wホールド チャンバーパッキン
  • PDI6.01mmインナーバレル
  • PDI1stシア
  • PDI2ndシア

内部全交換ですねw
ホップユニットはノーマル加工で充分です。

ピストンウェイト増設

本来ならハードピストンなんでしょうが、バキュームピストン加工でやってみます。
ウェイトはナツメ重りを加工して、ピストンのスプリング穴に入れてしまいます。
10号~15号を切って叩いて使います。
今回は30g~50gくらいを想定します。
穴の半分くらいまで重りが来ます。

スプリングスペーサ

ピストン初速調整のため、スペーサでプリテンションを掛けます。
コレは無くても構いません。

スプリングシート加工

ピストンに多く重りを仕込むと、スプリングシートが重りに当たってシアが掛からなくなります。
というコトで、15mmくらいスプリングシートをカットします。
硬い素材なので、金ノコだと時間が掛かるでしょう。
私はダイヤモンド刃の高速カッタで一気に切り、ダイヤモンドヤスリでバリを取りました。
コレでシアが掛かるようになります。
図解すると…

と、こんな感じです。
ピストンのウェイトを稼ぐには、こういう加工も必要になります。
ウェイトを入れるとシアが掛からないという場合、この加工が必要になるんですね。

HOPユニット

ノーマル品加工でもイイんですが、ココはPDIのHOP UP チャンバーver.2とパッキンを使用します。
加工は1カ所だけ。
ホップアームが押すプラ棒を、4mm径くらいのアルミ棒にするだけです。
要はノーマルホップアーム加工のようなもんです。
コレでホップがキッチリ掛かります。
センタリングだけはしっかりと。

HOP調整

PDIのホップを調整・加工して、大体のセッティングをします。
ホップアーム左右は揃えておきます。
少し効き過ぎかな?くらいで調整します。
気をつけるのは、パッキンを装着するときに、しっかりインナーバレルを突っ込むコトと、インナーバレルをホップユニットのノズル側から覗いて、キッチリ全てのセンターが出ているかを確認するコトです。
コレがダメだと、当然ながら真っ直ぐ飛びません。
ホップユニットの調整は意外とシビアですが、キッチリやりましょう。

実射

初速・ジュール値を規制値に調整して試射します。
私は0.25g・15mでゼロインをとってます。
キッチリ調整してあれば、0.28gで45mヘッドショットが可能になります。
多少の横風でも直進しようとするのが流速チューンの面白いトコロで、重めの弾を遠くに・正確に飛ばせるようになります。
基本的に、調整するのはホップ・スプリングスペーサくらいです。
ホップは、自分が使いたい弾にあわせて変更します。
このあたりは、ノーマルパーツ使用の場合と変わらないです。
ノーマルパーツの場合は「パワーを上げる」のに対して、アフター品はどうしても「パワーを抑える」セッティングになります。

 総括

ボルトアクションライフルの場合、シリンダ容量がある分「弾速が上がりすぎる」のが問題になります。
個人的には弱装スプリングとスプリングスペーサの組み合わせがイイと思いますが、ピストン重量によって変わってくると思います。
今回はバキュームピストンを使っていますが、ハードピストンの方が耐久性がありますんで、ソッチを選ぶべきでしょうね。
軽いピストンと強いスプリングで初期弾速を稼ぐ場合と、重いピストンを使う流速チューンの場合、30m以上の遠距離射撃で集弾率が全く違います。
過剰とも思えるほどのホップにより、弾のピッチング回転によるジャイロ効果があるんではないかと思います。
重い弾ほど効果が出やすいので、遠距離の的撃ちスナイピングがしやすいでしょう。

私の場合、耐久性とカスタムのしやすさから、内部を全部アフター品に交換してしまいました。
ただ、実際はボルト部(シリンダ周り)とシアー、ホップパッキンだけで充分だと思います。
弾によって変えるホップの効き調整は、純正の方がやりやすいですし、インナーバレルもノーマルで充分。
無風で45mレンジ・0.25gで比較した場合、ノーマルが10~15インチ程度・内部フル交換&加工で5インチ程度の集弾率ですので、大きな差が出るとはいえ、元がイイだけにゲームでは差が出にくいかと思います。
リアルショックの場合は元々がイイので、ウェイトを足してスプリングスペーサ追加とホップ加工だけで充分。
私の場合、ゲームよりも遠距離の的撃ちの方が好きなので、アフター品でカスタムしてしまいましたが。

流速チューンは試行錯誤が必要です。
決まったカスタムメニュなんてありません。
今回のスプリングシートのカットもそうですが、短バレルなども試しています。
何十回バラしたか判らないほどバラして、調整して組んで試射して…って感じです。
VSRで流速チューンをするのに参考になるように、また備忘録として書いてありますんで、矛盾点もあると思います。
そのあたりは、ご愛嬌というコトでw