グレ釣りの竿捌き考

 竿の捌き方で釣果が変わる!

魚は胴で釣れ!

まずは上の図を見て欲しい。
AとDは竿全体がキレイに弧を描いている。
こういうとき、ラインが乗っているのは4番ガイド以降で、穂先には荷重が掛かっていない。
BやEは穂先に荷重が集中し、竿もラインも危険な状態だ。
最悪なのがCで、竿はもはや関係なく、ラインの引っ張り強度頼みの釣りになってしまっている。
個人的に考える理想の竿角度は、魚が掛かっている状態で穂先から竿尻を直線で結んで、その直線とラインとの角度が70~110度くらい…要は直角に近い角度で竿捌きができるのがイイと思っていて、実際の釣りでもそうしている。
そういう状態であれば、竿全体にキレイに荷重が掛かって、胴に乗せた釣りができる。
もちろん、魚が遠ければ遠いほど理想の鉛直線に対する竿角度は起きてくる。
Cの竿が伸された状態の場合、リカバーするにはいくつかの方法がある。
まず、LBリールであればレバーを放ってやる。
LBでないのであれば、一瞬のオープンペールでリカバーするコトもできる。
ただ、本来であれば、この「竿が伸された状態」にはなってはいけないのも事実だ。
魚とのやりとりで、ドラグを締めたり緩めたりと駆使して、伸されないようにしなければならない。

さて、初心者がイチバンやるのがEの状態だ。
足許のタナ(シモリのタナ)に逃げ込もうとする魚を強引にあげようとしている状態。
魚が浮いてきていて、空気を吸わせてあげているのであれば気持ちも判るが、ソレにしても感心できない。
若干竿を寝かして、タモを入れ易い方向にアタマを向かせるべきだ。
取り込みの場合、一歩下がって竿を若干寝かし、竿の胴にのせて空気を吸わせるのがイチバンいい。
つまり、魚を誘導するべき場所は、足許ではなく「竿の胴にラインがのる場所」というコトになる。
そして胴でタメて空気を吸わせ、ゴボウ抜きの場合であれば、今度は竿の角度はそのままから少し上げ気味で自分自身が回転して陸にあげる。
タモなら魚の場所を変えずに、アタマの方向にタモを入れ、少し落としてタモに『自分で突入させる』コトになる。
とにかく、磯竿においては無闇に竿を起こすモンじゃない。
竿のコシ・ドラグ・ラインの伸びなどを最大限生かすべきだ。
私も最初の頃は、竿を起こしすぎて色々トラブルにあった。
しかし、試行錯誤していくうちに、最適な竿の角度をカラダが覚えてくれた。
とにかく、初心者は竿の角度を気にしてほしい。

なぜ竿を捌くのか

魚とのやり取りをしている最中、竿を上下にタメたり横に寝かせてタメたりする。
コレは、特にグレという魚がシモリに逃げ込もうとするので、そうさせないようにアタマの方向を変えるためだ。
魚というのは、基本的に「アタマの向いてる方向」に泳ぐ。
つまり、竿を捌くことによって、魚をコントロール下におくため…となる。
初心者が30cm代後半以上の尾長グレを掛けたとき、たぶんアタマの中は真っ白になっていると思う。
あまりのパワーに圧倒されて、竿捌きが雑になり、そしてバラす。
一番多いのが、ドラグを締めすぎていて、尚かつ竿が伸されるパターン。
コレは、穂先をウキの方向に向けているコトで起こり易い。
魚というのは、掛かるとまず沖かシモリに逃げる。
そして竿によってアタマを横に向かせた場合、今度はソッチに逃げる。
そうやって自分に有利な方向に誘導するのが竿捌きだ。
私が構える場合、穂先は少し上げ気味にして、ドラグはかなり緩めてある。
そして、掛かった瞬間にスプールを右手で抑え(私は右巻き派です)て竿をタメる。
そして徐々にドラグを締めていき、取り込み直前にまた緩める。
コレは最後に空気を吸わせたあと、ミスってもう一度水に潜らせてしまった場合を想定しての行為になる。
魚は空気を吸わせるとおとなしくなるが、再度潜らせてしまった場合、とにかく強引に逃げようとする。
このときが、一番危険な瞬間だ。
だからこそ、仕切り直しで先手を取られないように用心する。
LBリールの場合でも、ドラグが付いていればドラグを使った釣りになる。
私にとってLBというのは、竿が伸されたときのための非常手段でしかなく、レバーを放るのは緊急事態のみで基本的に使わない。
レバーを使ったやり取りをする人もいるが、正直いって操作が煩雑だし、ドラグの方がスムースなやり取りをしやすい。
なぜ竿捌きなのにリールのハナシになるかというと、竿捌きとリール操作とは車の両輪だから。
どっちも疎かに出来ない、重要な要素だからだ。
いくら竿がイイ角度でしなっても、リールのドラグをギッチリ締めてしまっていては、ラインの強度に頼った釣りになってしまう。
そうならないため、ラインの強さを生かすためにも、ドラグ調整は必須だ。
私の場合、ドラグはかなり緩い状態で仕掛けを投入する。
ヘタをすると、オープンペールで待ってたりもする。
そしてアワセを呉れて魚が乗った瞬間、まずはスプールを抑えてブレーキを掛け、引きに応じてドラグを調整する。
徐々に魚が寄ってきて、10m前後になったときに、ドラグをまた締め込む。
しかし、常にドラグがチリチリ鳴っている状態を維持する。
ココでギッチリ締め込むと、一気に鈎とラインに負荷が集中し、バレてしまう可能性が高くなる。
とにかく、ある程度の強引もできるよう調整する。
シモリに逃げ込もうとする魚に対し、とにかく逆を向かせて浮き気味にさせる。
そして最後の取り込み寸前のやり取りでは、少し竿を寝かせて竿と魚との角度を維持し、ラインを捲き上げて上を向かせるようにする。
低い磯では、特にこの時が重大な局面となる。
魚が釣っている自分の足許のタナに逃げ込もうとするからだ。
そうなってしまっては、なかなか引っ張り出せない。
だからこそ、足許より先で空気を吸わせるコトが重要になる。
そうすれば、あとはタモを使うなりゴボウ抜きをするなり自由にできる。

このあたりは、実際にやってみないとイメージできないと思う。
私も、本やネットで見ても判らなかった。
しかし、グレ専門で釣りをして何度もバラして、経験でカラダにしみついた技となった。
ホント、一時期は週7日グレ釣りをやったコトもある。
今でも少なくとも週1でグレをやる。
アタマで考えても、実戦ではウマくいかないコトの方が多い。
常に状況は変化し、同じシチュエーションは二度と来ない。
だからこそ釣りに通って、様々なシチュエーションで釣りを経験し、楽しむべきだ。
考えて釣っていれば、おのずと技は身に付く。
そして大モノをあげたとき、苦労は歓びとなる。