グレ釣りの仕掛けの振り込み

 基本は優しく、そして空中で張る

磯釣りをしていて、よく見る光景がある。
仕掛けを振り込むのに、鈎からウキまでが1ヶ所に着水し、そのまま操作しないというもの。
コレ、仕掛けは絡むしアタリはとれないしで、全くもってダメだと思われる振り込み方。

私の振り込み方

私が心掛けているのは、空中で張って優しく着水という振り込み方。
人によって違うと思うケド、竿を縦に振るか横に振るか、または頭上でムチの様に振るか等々の違いがある。
私は横に振る派で、竿は左持ちの右巻きなんで、右手でチモトを持つ。
ペールをあけてラインをおさえ、そして竿を右に構えて、振り始めると同時に右手を放し、竿のコシを活かして振る。
竿を振り終わったら中指と薬指を立てて、ライン・指間の抵抗を利用するコトを目的にリールから出て行く糸に触って少し減速させ、竿は着水ポイントに向けておき、着水させたいポイントに仕掛けが近づいたら指はそのまま少しの角度で速く竿を起こすか横に振って竿を向ける方向を変える。
コレで仕掛けは張った状態になって着水する。
着水したら、ペールも指も戻さずに一気に竿を立てて仕掛けを引きつつハリスを張り、同時に少し糸フケを出してやる。
そしてペールを戻して、竿の穂先を振ってやってリール – 穂先間の弛みをとって釣り開始。
振り込み→着水時の竿返しのトコロをムービーで。

竿2本分先を狙って、着水するまでを3回繰り返し。
竿の振りが遅いと見える人は、竿のコシを生かしきれていない人。
竿2本くらいは、この程度の振りで充分です。
というか、向かい風でなければ、竿5本くらいでも充分この程度の振りでいけるんですね。
風切り音が入っているので風があるのは判ると思いますが、この日はマァマァな強い向かい風です。
でも、自重のあるウキ(遠矢のSP80-18 0号)を使ってやって、向かい風に対抗しています。
肝は、着水寸前での竿の返し。
コレで仕掛けを狙ったトコロにポチャンと落とす。
モチロン、仕掛けの張りはキチンと出ている。
本来であれば、この竿返しのあとにキレイに張ってやるのと糸フケを出すのを同時に行なうため、竿を起こすのだが、このムービーでは振り込みのフォームの方が大事なので、ソレをやっていない。
もし糸フケが出過ぎていたら、その分だけ巻いてやる。
この方法なら、竿5本くらいはポチャンで正確に狙える。

竿5本より遠投する場合は仕掛けを手に持たず竿を立てて、竿を「の」の字に振って竿の弾力を最大限に利用する。
着水させる & させた後の動作は上と一緒。

この振り込み方だと、振り込んだ仕掛けが低い位置で減速(正確には、指で減速するコトで飛行する運動エネルギーと重力の比率が変化するのを利用し、弱い減速によって重力の比率を徐々に大きくするコトで飛行高度が低くなる)するので、高速度でドボンでも高高度からドボンでもなく、仕掛けが張った状態でのソフトランディング(軟着陸)…ポチャンになる。
ただし、混んだ釣り場だと振り込みづらいので、竿を横振りではなく縦振りにする。

ドングリウキだと適当に投げてもトラブルは少ないケド、環付きのウキ(私の場合は環付き棒ウキやR-SHOTなど)で適当に投げ込むと絡み易い。
私の場合、環付きウキを使うコトが多いんで、どうしても丁寧に投げないと手数が伸びず、成績が悪くなる。
仕掛けが水に入っているのは、長くて数十秒…1分以下でアタリがきて、コッパグレだろうがナンだろうが掛けて、喰えるサイズや魚種じゃないとリリースというのを繰り返す。
手数で稼ぐ釣りなんで、仕掛けのトラブルというのは非常に痛い。
手返しよく釣りにかからないと、途端に成績が落ちる。
竿2本までの足許釣りが基本だケド、たまには竿4本先なども狙う。
そういう時に、仕掛けトラブルに気付かないで流していても、時間の無駄になってしまうので、できるだけトラブルが無いように、空中で張って着水させる振り込みを心掛けている。

仕掛けを張る理論

空中の仕掛けを意図的に張るというのは、理屈・理論が判らないとヤリづらいと思う。
まず、仕掛けというのは、ソレゾレのパーツに「質量」がある。
例えばウキ・ガン玉・鈎等々…もちろんラインにも質量はある。
私の振り込みを例にとると、振り出した直後に、まず仕掛けは「質量のあるモノが軽いモノを引っ張る」力が働く。
殆どの場合がウキだと思う。
コレは、重いモノが空気抵抗に打ち克ちながら飛行し、各種小物やラインなどがソレに引っ張られるから。
そして、指でラインを触るコトで弱いブレーキが掛かり、ラインの出る速さが軽く減速してウキが慣性でウキストッパにあたり、さらにウキ下が慣性で前に出る。
竿に近い方から順々に減速が掛かり、今度は竿を少し起こすコトでラインの出に抵抗が掛かり、最後に質量の小さい鈎・刺し餌が前に出て…ココでポチャンと着水する。
そして更に竿を起こすコトで、ある程度張った仕掛けがキレイに張り、同時に糸フケも適量出る。
この時ウキは下流にあるので、着水→引く動作が完了すると仕掛けが入りはじめ、釣りに掛かれるようになる。

空中で張る私的理由

通常だと、仕掛けを適当に投げ込む→引いてウキ下を張りつつポイントに仕掛けを入れるという動作があるが、空中にあるうちに仕掛けを張っていれば、また、ポイントへ的確に仕掛けが振り込めれば、無駄な動作をしなくて済むし、あまり締まっていない刺し餌でも問題なく使えるようになる。
私の場合、時期によって、またはポイントによっても、刺し餌の使い分けをしている。
無加工・「オキアミ職人」締め・砂糖締め・半ボイル・ボイルを、喰いによって使い分ける。
柔らかい刺し餌の場合、どんなにウマく刺しても、あまり長距離を水中で引くと身崩れし、餌だけを引っ張られるコトもあるので、身崩れしないように、水中を引くコトをしたくない。
そういうワケで、できるだけ空中で張りの動作を済ませたいというコト。
そして、ドボン!と仕掛けを落とすと、魚が散るという理由もある。
また、鈎を表層で引くと厄介な魚が喰ってくる。
そう、ボラだ。
ボラは水平に動く餌にはよく反応し、縦に落ちる餌には反応しない。
いくらボラが沸いても、振り込んだ時点で仕掛けが張っていれば、引く距離が短くなってボラを掛けずに済む。
そういう意味でも、やはり振り込んだ時点での張りは必要だ。

最後に

全ては私の「手数で釣る」というスタイルに起因している。
特に、異常にコッパグレが沸いたときは、100匹のコッパグレを投げても10匹のキープサイズを釣りきるというコトが求められる。
まぁ、潮が悪い時はコマセをチビチビ効かせて、潮変わりに備えてタバコを吸ったりジュースを飲んだりなどして休憩し、潮が良くなったら一気にハイペースで釣りに掛かるという、短期決戦の日もあるんですが。
ソレでも、周りが全く釣れない状況でもキッチリ「キープサイズつ抜け」以上を釣りきるコトが殆どなんで、まぁ釣り方は間違っていないかと。
ご祝儀でシマアジなども来るので、気が抜けませんw
と、こんなトコロでオシマイです。
参考になれば幸いです。